皮膚疾患マメ講座
このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。
第2回 み ず い ぼ
水いぼは正式には伝染性軟属腫といい、ポックスウイルスの1種によって感染して発症します。治療において「放置して自然治癒を待つ」と「水いぼを摘除する」の相反する方針の病院が存在しますが赤木皮膚科は後者になります。
水いぼを放置して比較的短期間で自然治癒する幸運な場合もありますが、自然治癒しない場合は1年以上経過しても治らないことがあります。また最初は少数であった水いぼが、数えきれないくらいに増加してしまうこともしばしば経験します。水いぼを見て「ほっといたらいいよ。」と簡単に言うお医者さんがいますがその後をフォローしません。だからそのあと数が増えて「あの時取っておけばよかった」と後悔することになりかねないのです。
もし冬に水いぼができて放置している間に数が増えて夏になった場合、子供の患者さんは可哀そうです。幼稚園で園児がプールで楽しく水遊びしているのに、水いぼがあるため他の子に感染しないようプールに入れなかったりします(園によっては工夫してプールに入っていますが)。これは単純に水遊びができないから暑いということだけではなく、精神的に傷つくことにもなります。
水いぼの摘除はすごく疼痛を伴うのでしない方がいいという意見もあります。しかし当院ではシール型の麻酔をするので他の病院で取るようには痛くありません。また水いぼの摘除で瘢痕が残る意見もあり、確かに一部の患者さんで水疱瘡のような瘢痕が残ることもあります。しかしそうなる患者さんの頻度は非常に少ないのです。
これまでの多数の水いぼの症例の積み重ねの経験をふまえ赤木皮膚科クリニックでは水いぼの摘除治療を積極的に取り入れています。ここでは紹介しきれないのですが、他病院ではやってないようなオリジナルの工夫もあります。
さて、そんな私でも水いぼの数が50を超えると摘除すべきかどうか悩みます。そんな数だと患者様(たいていは幼少児)がどうしても摘除処置に対して苦痛を感じます。こうした場合には「取らないで治す」方針もありだと思います。当院ではヨクイニンというハトムギ茶を薬にした漢方薬を処方します。もちろんこれを2週間飲んだからといって水いぼが治ることはありません。しかし1年で自然に治るところが9か月ぐらいで治すことができます。
水いぼの患者様はぜひとも当院にご相談ください。