2016年9月7日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第11回 マラセチア毛包炎

 今回は夏に多い,あまりメジャーではないものの誤診されやすい疾患「カビによるニキビ」についてお話しします。

 ニキビは通常顔面に好発しますが,胸や背中にもできることがあります。しかし若い汗っかきの人で,主に夏に,胸全体から肩にかけて広範囲に出てくるニキビがあります。この病気を「マラセチア毛包炎」といいます。普通のニキビはニキビ菌というバイキンによって生じますが,マラセチア毛包炎はマラセチアというカビによって生じるニキビなのです。

 ですので治療も普通のニキビの治療では治らず,カビを退治する治療をしなくてはなりません。正しく診断されることが大事なのです。

 水虫もカビによる皮膚病ですが,マラセチア毛包炎の治療にも水虫を治すような内服薬(イトラコナゾール)や外用薬(ニゾラール®クリーム)を使います。私の経験では治療におおよそ1か月くらいかかると考えています。再発が多いのが残念な点です。夏になると繰り返すことがあります。


生活上の注意点として発汗後にシャワーをすることのみ説明していましたが,週12回抗真菌剤入りシャンプー(コラージュフルフル®)で体を洗浄することも有効なようです。


このマラセチアは元々皮膚に常在するのですが,何故このような病態を示すのか不明な点が多いと私は思っています。私は実は真菌(カビのこと)を専門に勉強していたので今後も研究の動向に注目したいと考えています。