2024年3月27日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第41回 花粉食物アレルギー

 このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

花粉食物アレルギーは花粉症,花粉アレルギーになったことによって果物の食物アレルギーを生じることです。果物に花粉アレルギーの原因物質と類似した構造が含まれるから起きるのです。

最も典型的なパターンはシラカンバ,ハンノキといったカバノキ科の植物の花粉アレルギーになってバラ科の果物(リンゴ,桃,サクランボ)やマメ科(大豆,豆乳,もやし)で食物アレルギーを誘発されます。このため春に多い疾患です。

学童期から成人に発症しやすく,症状は原因の果物を食べると唇や舌,のどのイガイガ感がよく言われますが,嘔吐下痢といった消化器症状やひどい場合はアナフィラキシーもあるそうです。

乳幼児期は果物アレルギーでじんましん,湿疹,かゆみを起こすと言われていますから,口腔咽頭症状だけでなく,皮膚の症状が起きることもあるのではないかと赤木は考えています。

           

関係ありませんが、もうすぐなくなる旧型やくも車両です

私の友人は,日本に比べシラカンバの木が多いドイツに住むようになったためシラカンバアレルギーになってしまい,そのシラカンバアレルギーからさらにリンゴアレルギーにもなってしまい,好物のリンゴが食べれなくなってしまったと嘆いています。

果物を食べなければいいのですが,抗ヒスタミン剤内服により症状が緩和し食べれることが多いようです。また加熱したものは食べれます。

気になるようでしたらアレルギー検査を受けましょう。食物アレルギーの検査ではなく花粉アレルギーの検査で判明します。

クリニックにある赤木皮膚科クリニック便りには分かりやすく表をつけていますので詳しくはそちらをご覧ください。

コーヒーブレイク 第41回 市民公開講座&ランチョンセミナー

 

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

 みなさん「皮膚の日」を知っていますか。いいひふの日ということで1112日なのです。兵庫県皮膚科医会ではこの「皮膚の日」にちなんだ行事として20231111日に市民公開講座を神戸国際会館で行い,その栄えある講師として,なんと私が選ばれました。

 今回は皮膚真菌症がテーマでタイトルは「今こそ治そう,水虫とタムシ」です。兵庫県皮膚科医の代表として恥をかかないよう精一杯発表してきました。

 それでも内容は普段赤木が診療で話していることなので,自院の患者さんが聞いたら「なんや,普段聞いとることと同じ内容や」と言われてしまいそうです。

母親も観客として来てくれました。いい親孝行だったかなと思います。

市民公開講座、司会の鶴先生と
 

 話は変わって,みなさん「ランチョンセミナー」って知っていますか?
 これは学会の会場で,製薬会社の提供するランチの弁当を食べながら参加者が講義を聞くというセミナーです。

 これはもう1年半前になっちゃいますが20221127日に神戸で行われた日本臨床皮膚科医会近畿ブロック総会で,私がこのランチョンセミナーの講師をしました。これも真菌の内容ですが,参加者が皮膚科の医師ばかりですから専門的な話をしました。

 みんなが弁当食べている時に一人講演をしててお腹が空かないのかなあ,疑問に思われるかもしれませんが,実はこの講演に先立って別室で弁当を早めに食べてお腹を膨らませていますから大丈夫です。

 まあこんな風に大勢の前で講演ができることはとても光栄なことです。私を選んでいただいた関係者に感謝の気持ちでいっぱいです。

          

ランチョンセミナー、学会会場で

2024年1月17日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第40回 慢性じんましん

 このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

 慢性じんましんは1ヶ月以上じんましんを繰り返す疾患で,原因は不明と言えます。アレルギー検査を調べても分からないのです。でも原因は必ずあるわけで,赤木は体内に「毒」が入っていると説明しています。毒の正体が分からないのですね。

この慢性じんましんの場合,原因を突きとめるより治療の方が優先です。じんましんの治療薬である抗ヒスタミン薬を継続的に服用するとじんましんを抑えることができます。早く薬の内服をやめたいという気持ちから,じんましんが収まったので内服を早急にやめてしまうとすぐに再発してしまいます。こうなると「いつ蕁麻疹が治るのか」と不安でストレスが溜まってしまいます。



 赤木はこうしたストレスを溜め込まないために抗ヒスタミン薬の定期内服と「病気とつきあう気持ちを持つこと」も大事だとアドバイスしています。その方が気分的にも楽になるはずです。

 とはいえ,薬はできるだけ飲みたくないという気持ちもよく分かります。そこで薬の減量について説明します。

抗ヒスタミン薬の減薬は,薬を飲んでいてもじんましんが1週間出なければ今の半分に減量し,それでもじんましんが1週間でなければさらに半分に減量,というように徐々に半減することを指標としています。もし半減してじんましんが再発するなら減前の量に戻します。例えば12錠内服→11錠内服→2日に1錠内服→出た時だけ内服、という感じです。

コーヒーブレイク 第40回 赤木皮膚科はヴィッセル神戸のサポートファミリー

 

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

 20231125Jリーグ第33節,名古屋グランパスに2-1で勝利したことにより,創設29年でヴィッセル神戸は念願のJリーグ初優勝を決めました。パチパチパチ。



 赤木皮膚科クリニックは10年前からヴィッセル神戸のサポートファミリーになっていました。このサポートファミリーというのはスポンサーのミニタイプで,年間〇万円出してきました。一番大きなスポンサーはご存知「楽天」なのですがそれよりかなりスケールが小さいものです。

 2020年の正月には天皇杯優勝で大喜びし,一昨年2022年にはJ2に落ちそうになってえらく大変でした。そんなこんなの歴史の中昨年2023年にはとうとうJ1優勝したわけです。

 近年,イニエスタ選手をはじめ,大迫選手,武藤選手,山口蛍選手,酒井高徳選手などネームバリューの高い選手がそろい闘える集団になっていました。

 サポートファミリーだったので試合の無料チケットやヴィッセル神戸の定期雑誌,年2回のポスター配布,プラスチックの置物などが届きました。そうそう天皇杯優勝時には三木谷会長からお礼のハガキが届きました。ポスターは患者様にプレゼントしたりもしました。

 でも今回J1優勝したのをきっかけにサポートファミリーはやめることにしました。理由は楽天の業績が落ちたせいか,我々へのサービスが非常に悪くなってきたからです。

 しかしサポートファミリーをやめたからと言って一サポーターをやめるわけではありません。これからもヴィッセル神戸を応援し続けます。

 バモラ!ヴィッセル神戸!



2023年10月10日火曜日

皮膚疾患マメ講座 第39回 帯状疱疹ワクチン

 このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

帯状疱疹ワクチンには2種類あります。1)水痘ワクチン「ビケン」と,2)シングリックス筋注用,の2つです。どちらも健康保険はききません。それぞれの特徴を列記します。

「ハンター・ハンター」より。
コーヒーブレイク39回を参照


1)水痘ワクチン「ビケン」

①注射の種類:皮下注射,②注射回数:1回,③ワクチンの持続効果:5年間,④帯状疱疹の予防効果:51.3%(60歳以上),⑤帯状疱疹神経痛の減少率:66.5%,⑥注意:他の生ワクチンの接種を受けている場合は27日以上間隔をあける,⑦当院での料金:9800円。

 

シングリックスに比べ効果は落ちるものの料金も手頃で赤木的にはお薦めですが,5年ごとにワクチンを打つ必要があります。

 

2)シングリックス筋注用

①注射の種類:筋肉注射,②注射回数:2回,③ワクチンの持続効果:9年間,④帯状疱疹の予防効果:97.2%(50歳以上),89.8%(70歳以上),⑤帯状疱疹神経痛の減少率:100%(50歳以上),85.5%(70歳以上),⑥注意:2回目の接種は1回目の接種から2か月後,⑦当院での料金:23000円×2回。

 

 ワクチン効果は高いのですが,料金が高い上に2回ワクチンを打たないといけないところがあります。TVコマーシャルもあって,こちらの方が人気はありそうです。

                     

「信長を殺した男」より。
コーヒーブレイク39回参照

 共通の副作用としてインフルエンザやコロナワクチンのように,注射した後に腕が熱感を持って腫れたり,痛みを伴うことが高い確率であります。

コーヒーブレイク 第39回 「信長を殺した男」&「ハンター・ハンター」

 

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

  最近のマンガについてはあまり知らないのですが,赤木皮膚科クリニックにマンガの単行本が置いてあるように,昔は赤木もマンガが大好きでした。というわけで今回はマンガに関連したイベント2件の話です。

 まずは「信長を殺した男」のマンガ家,藤堂裕さんのサイン会(写真1)。「信長を殺した男」は主人公明智光秀の知られざる姿と本能寺の変を引き起こすまでの出来事が新たな視点で描かれています。特に第1巻が秀逸です。

 藤堂裕さんに購入したマンガ単行本の裏表紙にサインならびに信長や秀吉といったキャラクターの絵を直筆で描いていただきました。

 これだけでもすごい事なのですが,ありがたいことにマンガ原稿の下絵をお土産でいただきました。これはとても貴重なものです。赤木皮膚科の待合室に飾ってありますので一度ご覧ください。

             

写真1

 続いて「ハンター・ハンター」や「幽遊白書」で有名な漫画家冨樫義博さんの展覧会です。数々の魅力的なキャラクターがいて,マンガの実際の原稿やTVアニメ化された映像のセル画が多数展示されていました。

 赤木はクリニックの本棚にあるように「ハンター・ハンター」が一番好きで,単行本の第1巻とともに記念写真を撮ってきました(写真2)。また週刊ジャンプに使用された原稿コピーも購入しました。待合室の壁にに飾ってありますのでこちらもご覧になってください。さらに実際にその原稿が掲載された第9巻も本棚にありますのでよかったらチェックしてください。

 漫画家の冨樫さんの体調が長年すぐれないようなので,ご快癒を祈っております。

写真2


2023年7月3日月曜日

皮膚疾患マメ講座 第38回 ひょう疽(そ)

 

ひょう疽とは指先に強い痛みを引き起こす細菌感染症です。

(症状)爪周囲炎と呼ばれるように,指の爪周囲の皮膚が赤く腫れあがり,爪の縁に沿って膿が溜まった膿瘍ができます。ドクドクと脈動を感じるような痛みがあります。

爪と肉の間は皮膚が弱くて感染に対する防御機能が弱いのですが,そこから黄色ブドウ球菌が感染してひょう疽になります。

(原因)主なきっかけ・原因というのは,サカムケを剥いたり,深爪をするなど不適切な爪切り,また子供さんの場合指しゃぶり,爪を噛む癖などがあります。成人の場合,水仕事で指先の手荒れ,職場の不潔な環境などもあるでしょう。

(治療)この病巣の中心に膿が溜まって膿瘍ができている時は,膿瘍を注射針で針切開して膿を出す処置を行います。この処置で皮膚感染がかなり収まると思います。

あとは抗生剤の内服外用で速やかに治癒します。痛みが強い時は痛み止めも併用します。

(陥入爪・肉芽腫について)このひょう疽は基本的には短期間で治る疾患だと思っています。ところが誤った爪切りがきっかけで爪の先がとがっていると皮膚に爪が刺さる陥入爪になって傷が治りにくくなる上,さらに赤い肉が盛り上がった肉芽腫という状態になります。この状態だと治りにくくなります。

肉芽腫を電気メスで切ったり液体窒素で凍結療法を行ったりするのですが,元に戻るのに時間がかかることがあります。

(普段のこころがけ)このように爪周囲の細菌感染症,特に陥入爪・肉芽腫はやっかいな病気です。赤木は爪を短くし過ぎないよう,爪切りをし過ぎないよう指導しています。