このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。
慢性色素性紫斑は,中年以降の人の下腿に皮下出血である紫斑が多数出現し,慢性に繰り返す疾患です。数mm~2㎝大の紫斑が数十個もあると見た目が悪くショックを受ける人もいます。かゆみはほとんどないのですが,まれに非常にかゆがる人もいます。
(原因)下肢に血液がたまりやすい体質と関連があります。年を取って脛(すね)のあたりがむくんだり,静脈が浮いている人は要注意です。この体質に原因不明の小血管の炎症が加わると,血管から赤血球がもれて慢性色素性紫斑になります。
(治療)①出血を抑える止血剤:アドナ(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム)内服。②血管を強くする薬:トラネキサム酸。③血管炎の炎症を抑える薬:セファランチン,トラニラスト。①~③,特に①が大事と考えます。
内服薬以外には効果は限定的ですが④炎症を抑えるステロイド外用薬,特殊治療として⑤紫外線療法,があります。
(日常生活の注意)下肢に負担をかけないよう長時間の立ち仕事を避け,足を高くして休憩を取るようにしましょう。
(予後)既にできてしまった紫斑は数か月で自然に吸収されますが,別部位に紫斑が新生するのでなかなか完治しません。体質の影響も大きく,再発も多いです。あまりストレスに感じすぎず気持ちを楽に持つことも大事です。
内臓に異常はないので生命予後に問題はありません。
この写真は何だ?と思った人はコーヒーブレイク#44を見てください。