2013年12月11日水曜日

コーヒーブレイク 第2回 大河ドラマ出演

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

 大河ドラマ出演


 昨年某日、姫路市内で大河ドラマ「軍師官兵衛」の撮影にエキストラとして参加しました。鉄砲足軽役として第16話に出演しますのでテレビ画面で探してください。おそらく発見できないと思いますが。

 何気ない思いつきで参加したように思われるかもしれませんが、実は3年前より用意周到に計画してきたのです。3年前というのはまだ今年の大河ドラマの主人公は決定していません。NHK大河ドラマは戦国時代、幕末明治時代、その他の時代をローテートでまわします。平成24年が平安時代の「平清盛」、平成25年が幕末明治時代の「八重の桜」。とくれば平成26年は当然戦国時代になります。そしてそのテーマとなる主人公を是非わが町のヒーローに、という町おこし運動が日本各地で展開されます。姫路市の黒田官兵衛もそうでしたし、藤堂高虎、明智光秀などが強力なライバルでした。その中で黒田官兵衛の私の考えるマイナスポイントは、舞台となる地域が2年前の平清盛と同じ兵庫県で重複してしまうということでした。朝の連続テレビ小説の舞台を各県順番にまわしていることからも分かるように、大河ドラマでも同じ地域が目立つことをNHK側としては避けたかったはずです。だから黒田官兵衛は難しいんじゃないかなと思っていましたが、意外にもすんなり選ばれてしまいました。

 大河ドラマではNHKのサービスの一環として舞台となる土地でロケーション撮影が行われ、地元の人がエキストラ出演させてくれます。これには劇団所属のプロのエキストラを除けば、地元の人以外は参加申し込みできない原則になっているそうです。こうなるとなんとしてもエキストラ出演しようと計画するのが私です。なんせ一生に一回のチャンスです。1年前からエキストラ募集の告知がないかインターネットで常に目を光らせながら探り続け募集応募にこぎつけました。他方面の分野においてもそうですがこういうことには執念が必要で、ラッキーだけではなかなかたどり着くことはできないのです。

 撮影当日早朝より周囲には内緒で某所に集合。早速着替えや簡単なメイクを流れ作業で施されたのですが、想像したようなテレビ撮影の華やかなイメージとはかけ離れています。ひょっとして俳優さんにはお目にかかれないのかなと心配していたその矢先、まばゆいオーラとともに主演の岡田准一さんが登場し紙コップでポットのコーヒーを飲み始めたのを見て、テレビの世界に入り込んだ気分になり少し感激しました。早速妻にメールでそう送ったところ、「サインもらって」との返事。そんなん絶対無理!直線距離で10mは離れていますしエキストラ陣とは見えない壁ではっきり区別されています。係の人からも絶対しちゃだめと注意されていることです。一人で焦っていると、  

「お疲れ様です。」

 な、なんと声をかけて頂いたのは岡田准一様ではないですか。たまたまそこにいた私を含む4人のみに声をかけて頂きました。今考えても非常に幸運でしたが、その時は緊張して身動きできない状態でした。そんなこんなであっという間に過ぎてしまった一日でしたが本当に得難い体験でした。

 今ひそかに私が心配しているのは、ひょっとしてこの「軍師官兵衛」の視聴率が低いのではないかということです。司馬遼太郎のファンの方にとって黒田官兵衛といえば、「播磨灘物語」ではさわやかな好人物として描かれ、「新史太閤記」では脇役としてややコミカルな役を演じ、そして私の愛する「関ヶ原」では『お前が犯人だったのか』的なラストシーンで登場するのが印象的です。しかしこれは姫路出身者のひいき目な見方であり、全国的にはメジャーではないかもしれません。2年前の「平清盛」に続き兵庫県の歴史ヒーローが連続で低視聴率だったら・・・、想像するだけで恐ろしい。

 ちなみに患者様で訪れる「神吉」さんや「櫛橋」さんは元小名の家の出で世が世なら私はそのお抱え医師だったのかなあと想像することもあります。(また櫛橋左京進役の金子ノブアキさんは映画「ストロベリーナイト・インビジブルレイン」の小林充役が印象的!)こういうあれこれもトリビアとして知ってもらえれば来年の大河ドラマ「軍師官兵衛」をより楽しんでいただけると思います。ぜひ応援しましょう。

2013年11月7日木曜日

コーヒーブレイク 第1回 赤木皮膚科クリニック5周年を迎えて


     

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

 

赤木皮膚科クリニック5周年を迎えて

 おかげさまで2013115日をもちまして開院5周年を迎える運びになりました。これも患者様をはじめ関係者皆様のおかげであると深く感謝しております。長らく母校の島根医科大学(現島根大学医学部)で研鑽を積んだのち姫路で開業することを決意するのですが、元々は網干の出身なので姫路の大多数に土地勘がなくどこで開業すればいいのかさっぱりわからない状態でした。税務士さんと相談した結果白浜に決定しましたが、この5年間診療していてこの選択に間違いはなかったと実感しています。

 5年経って何をすべきかいろいろ考えましたが、ホームページを刷新しコラムなどを作りその内容を赤木皮膚科便りとしてクリニックの受付に置くことを思いつきました。文章に自信はないのですが、クリニック側と患者様側になにか結び付けれるものはないかと考えた上でのことです。一応季節ごとに更新と発行するつもりですが夏はとても忙しいのでできない可能性があり、おそらく年3回になるだろうと想像しています。

開院当初より赤木皮膚科クリニックには2つの理念がありました。1つ目は地域に根ざし地域に親しまれる診療所になること。2つ目はクリニックであっても高度な治療内容を提供することです。その目標からすると第1段階としては一定レベルの事が達成できたのかなと自負しておりますが、反面まだまだ改善の余地がある部分も多く残っています。

地域に根ざす診療所になるために、患者様にあいさつをはじめ親愛な態度で接し、詳しくムンテラ(説明)を行うことにより疾患と治療内容を理解してもらうように考えております。しかし疲れているとそれが表情に出てしまったり,気が付くとコンピューターカルテに視線がいってたりと、お叱りを受けることもありました。普段から心がけていることですが患者様を自分の家族、例えば年配の方なら自分の父か母、同年輩なら兄弟姉妹、子供さんなら自分の子供と置き換えて診るようにしています。が、まだまだ人間が未熟なため失敗も多いです。一歩一歩成長するよう考えていますので、失礼のあった方も長い目で見てやってください。

もう一つ、専門的で高度な治療を提供することですがこれには限度がありません。いくら患者様と良好な関係が築けても症状が改善しないのでは意味がありません。現在でも多くの疾患に対して赤木皮膚科クリニック独自の治療法を開発しているつもりです。(この点は他ページの「皮膚疾患マメ講座」に書きますのでまた読んでいただければ幸いです。)しかし一部の疾患では自分でも満足のいかない部分がある事も事実です。これらの難治な疾患については今後の課題として徐々に取り組んでいく予定です。さらに医学は日進月歩であり、常に新しいことを取り入れないと遅れていきます。日々精進することが必要で種々の学会や研究会に出席して勉強する必要があります。更に学会発表もすることが自分の進歩につながると考えています。先日は日本中部支部学会で、新しい遺伝子検査を発見したので発表してまいりました。そしてそのために患者様にはご迷惑をおかけしますが一部診療休診することがあります。まだまだ未熟な部分もある私ですがこんな風に心がけていることだけは知っておいてもらって、ちょっと安心してもらえればと思っています。

今回は最初ということもありまじめな内容になりましたが、次回からはもう少しくだけた内容になる予定です。

それでは次回もまた読んで頂きますようお願いいたします。

皮膚疾患マメ講座 第1回 ニキビ


このコーナーは皮膚病診療について赤木院長が独自の視点で解説します。

1回 に き び

 みなさん医療には「常識」といわれていることが実は「非常識」であったということがよくあります。昔両親から言われてたことやテレビの番組、コマーシャルで言われることにもあります。そうした非常識の中で今回特にお伝えしたい事は「にきびを治すには顔をよく洗うこと」というのは実は間違いだということです。

 にきびは正式には「尋常性ざ瘡」という疾患名があります。発症機序は①毛穴のつまりで毛包にアブラがたまる②ニキビ菌がアブラが好物なのでたまったアブラを食べて増殖して炎症をおこす、というものです。

以前は思春期で性ホルモンの働きが活発になり脂腺のアブラが増加する10歳代の人が患者層の中心でした。そのためあふれたアブラを取り除くために洗顔することが推奨されたわけです。このことは毛穴の汚れを取り除くという意味では正解だと思います。極端な不潔を予防するという点でもいいでしょう。しかし毛穴のつまり=毛穴の汚れではないのです。洗顔では毛穴の汚れは取り除けても毛穴のつまりは取れずにきびの改善にはつながらないのです。また必要以上の洗顔では普通の皮膚表面皮脂が必要以上に取れてしまい、その結果乾燥肌になってしまいます。洗顔回数は112回で充分、それを超える回数は乾燥肌をつくってしまうと考えた方がいいでしょう。なお洗顔で除菌できるとお考えの方もいらっしゃると思いますが、洗顔では毛包内のニキビ菌には届かないので除菌、殺菌効果はありません。

 また一部のマスコミやホームページで言われている、大人のニキビは乾燥が原因でおきる「乾燥ニキビ」というのも医学的には全く根拠がありません。我々皮膚科医も皮膚の乾燥を治す保湿剤をニキビ治療に使いますが、これは今述べたように洗顔のし過ぎで起きる乾燥肌やアダパレンというニキビ薬を使用する際におきる乾燥肌を治すために使っているだけです。保湿剤のみでニキビが治るといことはありません。

 以前は思春期の10歳代の人が患者層の中心でしたが現在は2030歳代の女性層に移ってきました。なぜこのように変化してきたかというと、その大きな原因は「化粧」によって毛穴を閉塞してしまうことです(もちろん専門的な話では毛穴特有の角化異常ということもありますがここでは省略)。現在の皮膚科診療ではアダパレンという毛穴のつまりを溶かし毛穴開存させる塗り薬があり、これによってニキビができにくい肌にすることができます。

 よってニキビの治療は①ニキビ菌を退治する内服薬、外用薬を使う②毛穴のつまりを治す治療をする、ことによりニキビの症状は改善してきます。

 ではニキビの患者さんは化粧をしてはいけないのでしょうか。本当のところを言うと化粧は控えた方がいいです。しかし実際には化粧しないわけにはいかないという女性がほとんどです。その場合には毛穴を塞がないハイポ/ノンコメドジェニック化粧品を使うことをおすすめします。またニキビ部分の化粧を薄くすると他人の視線がニキビにいかないか不安になります。このような時にはアイメイクやリップに力を入れる、あるいはイヤリングやネックレスをするといった工夫で視線をそらすとことが可能です。

 他にもチョコレートやピーナッツがニキビに悪いという説も医学的に根拠がありません。バランスよく食事していただければ大丈夫です。テレビのコマーシャルで流れるようにビタミン剤がニキビによく効くというようなこともありません。尋常性ざ瘡の治療ガイドラインにおいてビタミン剤は「処方してもいいが効果は期待できない」というランクです。

この話の内容は虎の門病院皮膚科の林 伸和先生の話を参考に書いております。