2021年2月15日月曜日

コーヒーブレイク 第29回 ブラックジャックの領域に一歩近づく

 

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

「ブラックジャック」といえば手塚治虫先生のマンガの代表作。顔を斜めに切ったような大きな傷があり髪の毛も白と黒が半々の不気味な容姿をしているのですが,メスを握らせればその神業で奇跡を起こす史上最高の外科医です。

私も小学生の時に少年チャンピオンで毎週欠かさず読んで心を揺り動かされたものでした。医学部受験時の小論文にはブラックジャックについて作文し,おそらくそれが上手くいったのでなんとか合格したのです。

そんなマンガの中での登場人物ですが,赤木が思うにブラックジャックには3つのとんでもない特徴があります。

1)      手術代が数千万円する。

「そんな大金・・・ブラックジャック先生。」「命の値段に比べたら安いもんだと思うがね。」いやいや高すぎる。

2)      人造人間を作った。

 かの有名なピノコちゃんですね。畸形嚢腫という腫瘍の中身から1体の人間を作ってしまうのがすごすぎ,ってゆうか無理でしょ(第10話畸形嚢腫)。ピノコちゃんのネーミングはピノキオの女の子版ということで名づけられています。ピノコの顔のモデルになった女の子が登場するエピソードもあるのですが,かわいそうに病気で死んでしまいます。(第89話ふたりのピノコ)

                                    出典 ブラックジャック コミックス10巻より     ”

3)      自分のお腹を開けて自分で手術した。

 なんともクレージーな話ですが,ブラックジャックは自分のお腹に局所麻酔をして,鏡に術野を映しながら自ら開腹手術をするのです(第88話ディンゴ)!この話は小学生の私に衝撃的だったようで,医師になった今でも自分で自分を手術し失敗して大出血する悪夢を見てうなされることがあります。

 この3)が,今回のタイトルに関係する部分です。そんな自分で自分を切るようなまねは絶対しないでおこうと思っていたのですが,足底にウイルス性のイボが2か所もできたので,写真のごとくイボの表面をカミソリで切って液体窒素で凍らせる処置を何度か行いました。イボの患者様には日常的に施行している処置ですが,自分自身に行うにはやはり勇気がいるものです。痛みを感じたり出血することもありましたが,数回施行して治すことに成功しました。

 ブラックジャックとはレベルが違うだろ,とつっこまれればその通りなのですが,自分で自分の体を傷つけることは昔から夢に見るくらい怖かったことです。刃物の冷やっとした感覚とか,患者様の感じる恐怖を同じように体験できたのは良かったです。