2015年4月21日火曜日

皮膚疾患マメ講座 第6回 最近流行のタムシ


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

 たむしというのは水虫菌が足以外の顔面や体に感染してできる疾患のことです。スポーツや力仕事の方,あるいはそういうのとは無関係な方でもなりうる昔からある病気です。

ところが2000年頃より海外からトンズランス菌という白癬菌が日本に入ってきました。これがとても接触感染しやすいものですから,柔道や相撲,レスリングなど皮膚と皮膚が接触しやすい格闘技競技者の間,あるいはその家族の間で感染が大流行しています。

症状の特徴ですが①部位:接触しやすい露出部,つまり頭頚部,顔面あるいは上肢に多い。②皮疹:環状,あるいは円形の紅斑。あまりかゆくないことが多いです。頭部はこれに加え脱毛,ふけが増える,といった症状も併発します。

診察室ではこの皮疹の一部をこすり,そこにタムシ菌がいないか顕微鏡で検査します。その間約1~2分です。もしタムシ菌がいたらガラス試験管にいれて培養してトンズランス菌かどうか調べます。抗真菌剤の内服や外用を行うと軽症であればおおよそ1ヶ月で治ります。

予防法としては①競技練習が終わったらできるだけ早くシャンプーや石鹸で頭髪や体を洗いトンズランス菌を流すこと②道場をホウキや雑巾で掃除し,落ちている垢やフケを除去すること③道着を洗い天日で干すこと④道着やタオルの貸し借りはしないこと,が挙げられます。

 「さわやか健康」内でも話していますが,中学校の体育授業で武道が必修化されたことにより,柔道をしていない生徒さんが柔道の授業により感染するようになってきました。このためクラブで柔道をしていないのから大丈夫と言えなくなりつつあります。

 柔道,相撲,レスリングをしている方とその家族の方はトンズランス菌感染に特にご注意ください。ちなみに赤木は大学時代は柔道部でした。