2017年7月31日月曜日

皮膚疾患マメ講座 第15回 顔面単純ヘルペス


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。



単純ヘルペスは顔面,特に口唇や鼻周囲に小水疱が重なって,ぴりぴり神経痛を伴う結構煩わしい病気です。繰り返し発症すると憂鬱な気分になります。陰部や性器に小水疱ができる別のタイプや,また帯状疱疹という別の疾患もヘルペスと呼ばれますが他のウイルスが原因なので今回は省略します。


<原因>原因は単純ヘルペスウイルスです。直接の接触以外にウイルスのついたタオルやグラスを介して感染します。そのため親子や夫婦で感染しやすいのです。

<再発>ウイルスは一度感染すると頭部深部の神経にとりつきます。やっかいなことに免疫を獲得しても風邪をひいたり,疲労,紫外線,ストレス,ステロイドや免疫抑制剤など体の抵抗力を減弱することが誘因になって再発することがあります。再発の頻度は数年に1回から1年に数回という頻回な方まで様々です。


<皮膚症状>①最初皮疹は少ないけれどピリピリチクチクしてきます。②同部が赤くなってきて1~2日後に③小水疱が集まって腫れを伴うようになります。この時期が結構辛いです。④かさぶたになると治ってきています。全経過はおよそ2週間となっています。でもヘルペスは見た目が悪く,少しでも早く治したいと思うのが人情というものです。


<治療>治療にはウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤があります。外用剤もあるのですが,ウイルスは頭部深部の神経節に巣を作っているので内服でないと効きにくいというのが本当です。ピリピリチクチク感が出現したら早期に内服治療するのが効果的です。もし内服薬が余ったら捨てずに取っておき,再発時にさっと飲むことがお勧めです。続きの薬は病院に来院し処方してもらいます。


<注意事項>①患部には触れないようにしましょう。水ぶくれを破ったり,かさぶたは取らないようにします。患部に触れた指で目を触らないようにしましょう。患部に触れた後や薬を塗った後は石鹸で手を洗います。

人との接触に注意しましょう。子供さんや恋人へのキスやほおずりは控えてください。特に赤ちゃんへの接触は注意が必要です。白血病や癌など病気で免疫機能が落ちている人へのお見舞いは控えましょう。

タオルやコップは共用しない。食器は洗剤で洗ってください。タオルは他の洗濯物と一緒に洗って構いません。日光によく当てて乾かします。



 本内容は東京慈恵医科大学の本田まりこ元教授の著作内容を参考にさせて頂いています。