2018年1月30日火曜日

第17回 アタマジラミ


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。


アタマジラミは髪の毛の接触によってうつります。集団生活の学校や幼稚園,あるいはプールなどで感染し,その後家族内感染します。決して不潔が原因ではありません。時に集団発生することがあります。

 治療はドラッグストアでフェノトリン(商品名:スミスリンLシャンプー)を購入してもらい2日おきに4回シャンプーします。卵には効かないので毎日ではなく,2日おきにシャンプーすることが肝要です。保護者の方が洗ってあげてください。
 発見された子供さんだけでなく兄弟姉妹さんに拡大している可能性があるので,できれば一緒にシャンプーした方がいいかもしれません。
 また髪の毛についている卵を見つければ目の細かいクシや親御さんの指で取り除くようにしてください。そうすることで見かけもきれいになってきます。

 注意事項も列挙します。

<洗濯>洗濯機で洗えるものは,洗濯前に60度以上のお湯に5分以上つけてから洗うといいでしょう。虫,卵ともタンパク変性をおこし死滅します。乾燥機やアイロンの使用も効果的です。

 カーペットや人形など洗えないものはポリ袋に入れて封をし2週間放置します。シラミは吸血できないと23日で餓死するので卵の孵化する期間も考慮し2週間で駆除できます。

<掃除>髪の毛から落ちたシラミは23日で餓死するので神経質にならなくていいのですが感染拡大防止のため掃除機でこまめに掃除しましょう。床に寝転がることはやめましょう。

<寝具>布団など寝具は日光に当てて紫外線で退治しましょう。

<通学>アタマジラミに感染しても通園・通学の規制はありません。しかし髪の毛と髪の毛の接触で他人にうつる可能性があります。園や学校と相談してバンダナや帽子などで髪の毛をくるんで隠すようにしておくことがエチケットです。

<持ち物>タオルや帽子,ブラシなど直接体に触れるものは他人と共用しない。

<プール,風呂>水の中ではシラミは毛から落ちないようにしがみついてうつらないので安心してください。ただし脱衣かごやロッカーに入れたタオルやくしなどの共用,接触でうつる可能性がありますからこの時点での注意が必要です。

<就寝時>園のお昼寝や家族で並んで寝る時に毛の接触で感染します。子供に添い寝する時大人にもうつることがあります。少し離れて寝るなど多少の工夫で防げます。