2019年1月22日火曜日

皮膚疾患マメ講座 第21回 冬のあせも


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。



 皆さん,ランニングなど運動していい汗かいていますか。今回は汗に関連した話をします。汗には温熱発汗基礎発汗があります。温熱発汗とは運動や入浴などで体温が上がった時にかく汗のことです。


ランニングの場合少しずつ体温が上昇するので問題ないのですが,冬場の入浴の場合いきなり体温が56度上がります。すると人間の皮膚は大量の汗を出そうとするのですが冬だと角質が乾燥して固くなっているため,汗は皮膚外に出ず皮膚内にもれてしまいます。   

これがじんましんのようになって非常にかゆくなったり,あせものように赤いぽつぽつができたりします。冬のあせもは汗をかかなくてもできます。

冬場の入浴後全身が赤くなってかゆくなるのにはこうした汗のもれが関係していることがあります。特に子供は大人に比べてとても暑がりなのでその傾向は顕著です。できれば子供さんの入浴温度は低い方がいいでしょう。38℃が理想ですが無理はしすぎなくていいと思います。


これに対して基礎発汗というのは普段からじわじわかく,汗をかいているとは自分で感じない微妙な汗のことです。そしてこの基礎発汗を促進することが皮膚の乾燥を防ぎ,アトピー性皮膚炎を治すことができると杏林大学の名誉教授 塩原哲夫先生はおっしゃっておられます。

 基礎発汗を促進するにはどうしたらいいか。簡単な方法としては足浴が挙げられます。家の風呂場で洗面器に43℃のお湯を入れて,510分足浴をします。足はすぐ熱くなりますが体は徐々に熱くなって基礎発汗が増えるそうです。43℃というのは結構熱く口で言うほど簡単ではないため最初は無理せず短時間でもいいと思います。

 また神戸大学の先生の意見では岩盤浴もいいそうです。サウナはすごく暑いのでだめです。じんわりと汗をかくのがいいのです


 それでは足浴も岩盤浴も難しい時にはどうしたらいいでしょうか?前述の塩原先生の話によると,腕や下肢に保湿剤をあまり伸ばさないでべたべたに塗って,その後ラップで包むのがいいそうです。大量の保湿剤が発汗を促進させます。

乾燥のひどい,あるいはステロイド外用剤のききにくいアトピー性皮膚炎患者様はこの方法をためしてみてはいかがでしょうか。