2015年8月12日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第7回 ステロイド外用剤の副作用


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

湿疹やアトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイド外用剤ですが,約30年前にテレビや新聞で誤った報道がなされたために副作用の強い薬だとひどく勘違いされています。

1ステロイドを外用すると皮膚が黒くなる。

皮膚が黒くなるのは薬の副作用ではなく湿疹が重症であることに由来します。軽症であれば黒くなりません。むしろステロイドを外用して早く治した方が黒くなりにくいです。

 2ステロイドを外用すると皮膚が薄くなる。確かに皮膚が薄くなる作用もありますが,湿疹は皮膚が分厚くなる病気ですので,皮膚を薄くして治療しているわけです。したがって湿疹病変に外用している限りでは問題ありません。普通の皮膚でもよほどでなければ心配いりません。

 3ステロイドを広範囲に外用すると内臓に影響がある。外用されたステロイド成分は皮膚で吸収されてしまい血管内にはほとんどはいりません。よほどの例外を除けば内臓に影響はありません。

 4ステロイド外用を中止するとリバウンドが起きる。それはリバウンドではなく,薬を中止することによる病気の悪化です。高血圧や糖尿病の薬を自己判断で中止すると脳卒中や高血糖症状を起こすのと同じ原理です。

 上記に示した誤解は私にも理解できるのですが,中には特に理由もなく名前だけでステロイドが怖い薬と思われたり,医学知識のないおばあちゃんに「その薬だけはやめるように。」と忠告された症例もあります。

 ではステロイドを使わず,時間がかかってもいいから非ステロイドで治療したいという考えはどうでしょうか?この場合湿疹やアトピー性皮膚炎が悪化して慢性化してしまう可能性があります。いったん慢性化してしまうと治りにくくなってしまいます。このことを私は「ステロイド外用剤を使わない事の副作用」と呼んでいます。これはステロイド外用剤の副作用で苦しむ人よりよほど重篤で数も多いと思っています。

 さて最後になりますがステロイド外用剤の本当の副作用とはなんでしょうか?間違って使うととびひや,ニキビ,水虫など皮膚感染症をおこす事です。これにはやはり注意が必要です。例えば今まで虫刺されに対してステロイド外用剤が効いていたのにだんだんジュクジュクしてきて悪化した,というケースでは虫刺されがとびひになったものと考えられます。このような時には早めの受診をお願いします。

コーヒーブレイク 第7回 お城祭りで練り歩く


このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

私赤木は「播磨の黒田武士顕彰会」の会員です。同会の目的は黒田官兵衛と,結束が固く勇猛果敢な黒田家家臣団を世に知らしめる事です。お城祭りの仮装行列では黒田官兵衛を先頭に鎧に身を包んだ家臣が行進し,それに続いて黒田家家紋入りののぼり旗を持って黒田武士顕彰会会員が練り歩くのです。こののぼり旗は1本作るのに○○円の料金がかかるためそのスポンサーの名前が入るのですが,赤木皮膚科クリニックもそのスポンサーの1つです。

今回のお城祭りはゴールデンウィークにあったのですが,息子と一緒に参加しました。衣装に身を包み赤木皮膚科クリニックと印刷されたのぼり旗を持って歩きます。姫路駅前北の芝生広場で出発の雄たけびをあげ,みゆき通り,大手前通りを行進し,姫路城の大手門の前まで進み,記念写真を撮影します。あいにく晴天とはいかず,小雨時々大雨で結構大変です。この後三の丸広場のステージにも上がる予定でしたが,天気が悪く危険なため私を含む大勢の人は上がることができませんでした。それでも息子と一緒に記念行事に参加できてとてもうれしかったです。

この日,黒田官兵衛役で登場したのは若山耀人(キラト)君。大河ドラマ・軍師官兵衛で官兵衛と黒田長政の子供時代を演じた子役役者さんです。年間を通じて一番泣けたシーンが第12話「人質松寿丸(しょうじゅまる)」の回で松寿丸が子供ながら死を覚悟して人質になる決意を官兵衛夫婦に述べるシーンです。その松寿丸を演じた若山耀人君と会えて感動し,この会に入って本当によかったなと思いました。一緒に写した写真を載せますが,放映時に比べ身長とかすごく伸びてて雰囲気が大人っぽくなっていました。TV放送が終了したのはほんの半年前ですが撮影は2年前近くになるのでその当時とは全然違います。子供の成長は早いものですね。

興味のある方は播磨の黒田武士顕彰会に入会されてはいかがですか。詳しくはホームページで。
 
 

2015年4月21日火曜日

皮膚疾患マメ講座 第6回 最近流行のタムシ


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

 たむしというのは水虫菌が足以外の顔面や体に感染してできる疾患のことです。スポーツや力仕事の方,あるいはそういうのとは無関係な方でもなりうる昔からある病気です。

ところが2000年頃より海外からトンズランス菌という白癬菌が日本に入ってきました。これがとても接触感染しやすいものですから,柔道や相撲,レスリングなど皮膚と皮膚が接触しやすい格闘技競技者の間,あるいはその家族の間で感染が大流行しています。

症状の特徴ですが①部位:接触しやすい露出部,つまり頭頚部,顔面あるいは上肢に多い。②皮疹:環状,あるいは円形の紅斑。あまりかゆくないことが多いです。頭部はこれに加え脱毛,ふけが増える,といった症状も併発します。

診察室ではこの皮疹の一部をこすり,そこにタムシ菌がいないか顕微鏡で検査します。その間約1~2分です。もしタムシ菌がいたらガラス試験管にいれて培養してトンズランス菌かどうか調べます。抗真菌剤の内服や外用を行うと軽症であればおおよそ1ヶ月で治ります。

予防法としては①競技練習が終わったらできるだけ早くシャンプーや石鹸で頭髪や体を洗いトンズランス菌を流すこと②道場をホウキや雑巾で掃除し,落ちている垢やフケを除去すること③道着を洗い天日で干すこと④道着やタオルの貸し借りはしないこと,が挙げられます。

 「さわやか健康」内でも話していますが,中学校の体育授業で武道が必修化されたことにより,柔道をしていない生徒さんが柔道の授業により感染するようになってきました。このためクラブで柔道をしていないのから大丈夫と言えなくなりつつあります。

 柔道,相撲,レスリングをしている方とその家族の方はトンズランス菌感染に特にご注意ください。ちなみに赤木は大学時代は柔道部でした。

 

コーヒーブレイク 第6回 ケーブルテレビに出演しました。

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

 皆様,赤木が出演したケーブルテレビWINKの番組「さわやか健康」は見て頂けたでしょうか?今年平成27年の420日から26日まで毎日朝夕15分間づつ放送があったのです。ご覧いただいた方にはとても感謝しています。 

とはいえケーブルテレビですから視聴には加入申込みが必要ですし,場所によっては加入できない区域もあるようで,拝見しようと思っても簡単には見られないという事情もあります。実際私でさえ住んでいるマンションがWINKに加入できない区域に入っていたので我が家で番組を見ることができませんでした。逆に初めからWINKに加入していて無料で視聴できるマンションもあります。私の母が住んでいるマンションがその一つだったので,このたびは母が住んでいるマンションに出かけて番組を見せてもらいました。

319日に姫路医師会の一室を借りてそこで撮影しました。WINK側からは2人。MC役の中村祐子さんは笑顔がチャーミングな女性です。普段の会話をしているときは普通の声なのですが,本番になるとしゃきしゃきっとしたプロの声になります。あとはカメラマン兼進行役の河田さんです。放送は14分と長時間ですがこれはずっとカメラをまわして撮影したのではなく,場面毎に小時間ずつ区切って撮影します。だから失敗してもすぐにやり直しができます。そして編集でうまくつなげてくれるのです。撮影は非常に緊張した覚えがありますが,今となってはいい思い出です。

タイトルは「最近流行のタムシについて」。内容については後半の皮膚疾患マメ講座に書きます。実は大学在学中の赤木の研究テーマは「微生物に対する自然免疫」で特に真菌(タムシなどカビ)に対するものを調べていました。こうした理由からこのタイトルが選ばれたようです。フリップ(手持ちボード)も苦労して作った力作です。姫路市医師会のホームページからもYouTubeの動画で見られるそうです。WINKで観られなかった方はこちらで観てやってください。柔道や相撲をしている方あるいはその家族の方は必見です。

 

2015年1月28日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第5回 やけど


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

 
 やけど(熱傷)は熱湯をはじめ色々な温熱によって皮膚が炎症を起こすものです。

やけどした直後の最初の治療は「冷やすこと」です。病院に行って「一刻も早く処置してもらわなければ」と思って,局部を冷やさずに急いで赤木皮膚科に来られる患者様がいらっしゃいますが結局は院内で氷水により冷やすことになります。

どのくらいの時間冷やせばいいのでしょうか?ものの本によれば30分~1時間とありますがその限りではありません。私は「冷やさなくても痛みが我慢できるまで冷やす。」と説明しています。氷水などで冷やすと痛みが少なくなりますが,冷やすのを止めるとまた痛みがぶりかえります。冷やして,少し冷やすのを休んで,痛みがよみがえってまた冷やして,を繰り返します。痛みがあるイコールやけどの炎症が残っているということですから痛みがなくなるまであるいは我慢できるまで冷やすといいです。とはいえ患者様が赤ちゃんや子供さんだと痛いか痛くないかの判断が難しいですし,極端に冷やしすぎて凍傷になってもいけません。こういった意志不通の患者様の場合は1時間位と冷やす時間を決めてもいいと思います。

 それと熱傷で知っておいてほしい事は,やけどしたその時に一番症状が悪いのではなく翌日あるいはそれ以降に水ぶくれなどになって悪化するということです。最初赤いだけだから大丈夫というわけではないのですね。赤木皮膚科でもやけどしてから一週間は注意深く皮膚症状を観察しています。

 冬はちょっとした油断でやけどしてしまうことがあります。充分お気をつけください。

コーヒーブレイク 第5回 あなたはあの歌姫の声を聴いたか?


このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

 皆さん,あの歌姫の声を聴きましたか?そう去年111日姫路リバーシティーのリニューアルオープンのミニコンサートで歌唱力を存分に披露された,今絶好調のMay.Jさんです。

 May.Jさんを知らない人がいるかもしれないので念のため説明すると,去年大ヒットしたディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let  It  Go~ありのままで~」を唄って大ブレイクした歌手で,去年の紅白にも出場しました。巷の子供たちが「レリゴー」と口ずさんでるあれです。

 111日の13時と16時の2回公演があり,観覧優先エリアで観られる人はそれぞれ300人で整理券が必要です。優先エリア以外の人はフリーで入れるのですが混雑状況によっては観られない可能性があるというものです。整理券は当日朝7時に配布されるということでした。

 実は私はリバーシティーの近所に住んでいるので最初「これはしめた。」と思いました。他の人に比べ遅い時間に起きても間に合うだろうと。それが甘い考えだとは露とも知らずに。

 当日,私は朝4時半に起きました。空は真っ暗で雨が降っていました。しかしリバーシティーの方角をのぞいてみると不思議なことにまるで朝焼けの如く明るくなっているではないですか。何事かとよく観察すると駐車場に次々と車が入ってきて駐車できるスペースを探してうろうろしています。また人がダッシュして列に並んでいるではないですか。なんでこんなに早くから並ぶのだろう?しかし落ち着いて考えてみるとあり得ることです。なんといっても現在の旬の歌手が来るのですから。また遠方から来る人はそれこそ必死なので近所に住む人が思わぬくらい早い時刻に来ても当然です。後で聞いた話ですが1番の人は午前2時から並んでいたそうです。

 本当は朝ごはんを食べてからゆっくり行くつもりでしたがそんな余裕はありません。家族ともども急いで着替えてリバーシティーに向かいました。降りしきる雨の中ようやく列の最後尾に並び,前方を見ると既に長蛇の列ができていて愕然としました。数えてみると結構多い。ぎりぎり間に合うか?と数を踏んでいました。そうしている間にも私の後ろに次々と列ができていきます。そばにいる係の人が小声で「ここらへんの人がぎりぎりだめなラインかな。」と恐ろしいことをささやいています。

 「本当にぎりぎりだめだったらどうしよう?」しかしそれが現実化してしまいました。私たち家族の2つ前で打ち切り!!ああ,もう少し早く起きていれば!油断しなければ!せっかく近くに住んでいるのに。そう悔しがっても後の祭りです。しかし落ち込んでいる暇はありません。その日は土曜日,クリニックの診療がある日です。だめなものはだめとさっさと見切りをつけて病院に向かわなければ遅刻してしまいます。「ねえ整理券もらえてないのに何で帰るの?」という子供の声を遮り帰路に向かいました。ああ,ぎりぎり間に合っていればうきうきした気分だったろうに。

 結局診療が終わって16時の公演にフリーで観に行くことになりました。なんせ今まで見たことがないくらいの大混雑です。足は踏まれるわ,押さえこまれるわ,容易に動くことさえなりません。警備員さんの「押さないでください,押さないでください。」という声がずっと続きます。とっくにMay.Jさんの歌は始まっているのですが,私の立場所が悪かったのか,警備員のスピーカーの前方だったので「押さないでください,押さないでください。」しか聞こえません。私はこの人の怒鳴り声を聞きに来たわけじゃなかったんですけど。それから立場所をサイド方向に移動してやっとMay.Jさんの声が聞こえるようになりました。顔もわずかですが小さく見えました。最後の曲でかつお目当ての曲「Let  It  Go~ありのままで~」に間に合ったのです。日本語バージョンでなく英語バージョンだったのが残念でしたが,その時最もホットな歌が聞けて良かったです。~なあにも,こわくうなあい♪風よ吹け,少しも寒くないわ~