2016年1月27日水曜日

コーヒーブレイク 第9回 シュレーダー教授に再会

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。
 昨年の11月,母校である島根大学医学部皮膚科の主催で皮膚アレルギー学会が松江で開催されました。

 長い間暮らしてきた島根県でお世話になった先生方に挨拶する為当然参加してまいりました。懇親会はフォーゲルパークといって鳥専門の動物園(神戸でいえば花鳥園みたいな施設)で行われたのですが,ペンギンやフクロウと写真を撮ったり,神話のヤマタノオロチを芝居にした石見神楽(いわみかぐら,写真)を観劇できたりと楽しいイベントがいっぱいでした。山陰地方ならではの山海の珍味がテーブルに並び,また面白いところでは鳥取砂丘から最近の名物である砂場コーヒー(呼び名がスタバコーヒーとまぎらわしいところも面白いですね),砂場カレーが意外に美味しかったです。あまり知られてないかもしれませんが松江はお茶が有名で茶菓子なども登場しました。

 さてタイトルにも出て来たシュレーダー教授は基調講演のためわざわざドイツのキール大学から招待されました。このキール大学こそ私赤木が留学していた大学なのです。ですからシュレーダー教授は留学中指導していただいた恩師で,とても優しく丁寧な方です。

 しかしドイツ留学も楽しいことばかりではありませんでした。なにせ会話が英語(ないしはドイツ語)ですから,難しい話になると会話についていけません。研究の技術を身につける事が目的なのですが,元々の基礎力がなかったため非常に苦労しました。そんなこともあり,帰国してからはシュレーダー教授には何も連絡しておらず大学をやめて開業したことも伝えていませんでした。

 そんなうしろめたい気持ちがある中,シュレーダー教授が来日されると聞かされた時はとても驚きました。かといって会わないわけにはいきません。一念発起しドイツ語を猛勉強して現在の状況を説明できるようにまで準備しておきました。

 そしていよいよ実際に対面する時がやってきました。対面早々「ちゃんと勉強しているか?君が研究してた内容はモリタ教授が完成させてプロナス(非常にレベルの高い学術雑誌)に載ったけど読んだか?」と話を切り出されたのには戸惑いました。心の中で思わず「いきなりかよ。」とつぶやきました。そうなのです。前述したとおりシュレーダー教授はとても優しく丁寧な方なのですが学術的な会話が多く,ついていけなくなることがしばしばあるのです。いい人なのですが困ってしまう人なのです。

 幸いにも研究と無縁なシュレーダー教授の奥様が我々の会話に交ってくれたおかげで学術的な話題から離れ,私の近況報告をすることができました。よかったよかった。シュレーダー教授はその後も他の研究者と立ち話で討論を始めるので直接話をすることはほとんどできませんでしたが,シュレーダー教授の奥様とドイツ語でいろいろ話をすることができて楽しかったです。実は奥様もドイツ語しか話せないので話し相手がいなくて寂しかったらしく丁度良かったみたいです。
 今思い出しても「何とか乗り切ったぞ。」という気分でいっぱいです。