2016年11月8日火曜日

皮膚疾患マメ講座 第12回 妊娠中に使える薬

今回は少しデリケートな話です。



 妊娠というとおめでたい話なのですが,妊婦さんが病気になるとお腹の赤ちゃんへの影響を考慮し,内服治療が難しくなります。内服薬の多くは「妊婦さんへの安全性は確立されていないので妊婦さんには処方しないこと」と注意書きされているからです。
 しかしそうした薬の中でも世界で数千の妊婦症例に使用されたが問題はなかったとされる薬があります。この「問題はなかった」というのは「流産や奇形が発生しない」という意味ではなく「流産率(約15%),奇形発生率(約3%)に変化はなかった」という意味です。この辺がデリケートなところで,お間違えないようお願いしたいところです。


 当院においても妊婦さんで,じんましんが治らない,水ぼうそうになってしまった,ばい菌が入ってしまった,という患者さんがいらっしゃいます。そんな時に提案したい内服薬をご紹介します。



抗アレルギー剤:アレグラ,ジルテック,ザイザル

抗生剤:セフェム系

抗ウイルス剤:バルトレックス

その他:ネオーラル


 それでも薬の影響を絶対受けなくする方法は薬を飲まないことしかありません。ご心配であれば飲まない方がいいでしょう。


 この内容は,妊娠と薬情報センター長 村島温子先生のご講演の内容を参考にしています。
 ちなみにNSAID鎮痛剤と瘢痕を治すリザベンは内服しない方がいいそうです。あと産婦人科の医師の中でもステロイド外用剤がお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすと言う人もいますが間違いですので信じないでください。

コーヒーブレイク 第12回 素晴らしき知床の自然

 この前,学会で北海道の知床に行ってきました。知床は雄大な自然と他では見ることのできない珍しい動物が満載です。知床の観光拠点は2か所あり,知床半島の西のウトロと東の羅臼(らうす)があります。それぞれ観光船が出ているので色々な野生動物を直に見るため乗ってみました。



 ウトロ:観光船おーろら

 知床半島の先っぽ,知床岬が見られる海岸沿いの船旅。目的の動物は野生のヒグマです。海岸沿いにヒグマが生息して活動しているのが見られるはずだったのですが,残念ながらヒグマには遭遇しませんでした。ですが写真だけ載せます。



船上で足だけがとても赤い変わった鳥が私の頭上を飛び越えていきました。この鳥はケイマフリといい,知床の海鳥のシンボルで絶滅危惧種なのです。ケイマフリという名前はアイヌ語で「赤い足」という意味です。



 羅臼:観光クルーズはなます

 羅臼コンブにあこがれのある赤木としては羅臼に訪れることをとても楽しみにしていました。巨大な国後島がすぐぞばに存在し,この島に自由に行き来できないことを確かに不思議に感じます。

 さてこのはなますのクルージングの目当てはなんといってもマッコウクジラです。めったに生で見ることはできないのでワクワクしていたのですがクジラを見ることはできませんでした。その代りシャチがたくさん船の周りに集まってきて海面から顔を出します。こんなに多くのシャチを間近で見られるチャンスはもうないと思います。他にも野生のイルカがジャンプするのも観察できました。



 私が乗ったクルージング船以外の船で,いくつかのテレビ番組で芸能人をのせて有名になったN号クルージングはとても繁盛していました。しかし非常に多くの観客が乗り合わせて混雑し個人のスペースが狭いうえ,その体重の重さのために船が半分沈んでいました。シャチが右方に現れると客が右側に片寄るためそれこそ船がひっくり返りそうになって客も転落しそうです。船長の「押さないでください、押さないでください。」という絶叫が絶え間なくスピーカーから流れた時,思わず「あっちの船にしなくてよかったなあ。」と口にしたほどです。



 その他陸上ではキタキツネやエゾシカ,エゾリスなどが見られました。オオワシやオジロワシなどは見るのは難しいと覚悟していましたが,やはり目にすることはありませんでした。



2016年9月7日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第11回 マラセチア毛包炎

 今回は夏に多い,あまりメジャーではないものの誤診されやすい疾患「カビによるニキビ」についてお話しします。

 ニキビは通常顔面に好発しますが,胸や背中にもできることがあります。しかし若い汗っかきの人で,主に夏に,胸全体から肩にかけて広範囲に出てくるニキビがあります。この病気を「マラセチア毛包炎」といいます。普通のニキビはニキビ菌というバイキンによって生じますが,マラセチア毛包炎はマラセチアというカビによって生じるニキビなのです。

 ですので治療も普通のニキビの治療では治らず,カビを退治する治療をしなくてはなりません。正しく診断されることが大事なのです。

 水虫もカビによる皮膚病ですが,マラセチア毛包炎の治療にも水虫を治すような内服薬(イトラコナゾール)や外用薬(ニゾラール®クリーム)を使います。私の経験では治療におおよそ1か月くらいかかると考えています。再発が多いのが残念な点です。夏になると繰り返すことがあります。


生活上の注意点として発汗後にシャワーをすることのみ説明していましたが,週12回抗真菌剤入りシャンプー(コラージュフルフル®)で体を洗浄することも有効なようです。


このマラセチアは元々皮膚に常在するのですが,何故このような病態を示すのか不明な点が多いと私は思っています。私は実は真菌(カビのこと)を専門に勉強していたので今後も研究の動向に注目したいと考えています。



2016年8月13日土曜日

コーヒーブレイク 第11回 ドイツの友人来たる

 春の頃の話ですが,私が昔留学していたドイツのキールからステファンという友人とその家族一行が姫路に来られました。ステファンと,その妹さん,姪御さん,奥さん(奥さんは日本人),娘さんと計5人です。私の家族と一緒に姫路城へ案内しました。

 姫路城は世界遺産として名高いので案内するには適切なはずでしたが,平成の大修理が終わり昨年から一般公開されてから1年で来場者が222万人を突破するようなにぎわいですので,天守閣までには長蛇の列ができ上がり城を見に来たのか人を見に来たのかわからないほどでした。待てども待てどもなかなか前に進みません。子供たちのブーイングももっともです。まあ待っている間に色々話もできてよかったのですが,実はステファン夫妻は平成大修理直前にも姫路城を訪れたことがあり「あの時はこんなに混雑してなかったよね。」と言っていました。前回来たときは年間入場者数が約70万人でしたからほぼ3.5倍くらいの混雑さです。これを読んでる皆様も姫路城に行くなら時間帯は一番最初,開門してすぐ,がいいですよ。

 さて姫路城をあとにして,隣接する日本庭園の好古園に行きました。ここは雰囲気がとても落ち着いていてよかったです。ドイツの友人一行も日本独自の美観に見入っていました。またこの好古園には活水軒という和食のレストランがあって,外国からくるお客さんにはうってつけの食事場所です。色々メニューはあるもののドイツの人が食べられるものがあるか心配していましたが,全員「冷たいそば(つまりざるそば)」が食べられるということでしたので一安心しました。ここで安心し過ぎたのがいけなかった,と言っては言い訳になるのですがやってしまいました。ざるそばをすする時に「ズズズッッ」と音を立ててしまったのです。同じテーブルで食べるドイツ人の視線がすぐに私に集まります。外国では食事するときにこのようなすする音を立てることは行儀の悪いことなのです。早速私もふた口目からは少しずつ口に入れて音が出ないように食べました。ドイツに住んでいるときはいつも敏感になって注意していたのですが帰国してからはそんなこと全く忘れていたのです。コーヒーなどを飲むときも音を立ててはいけないので左右の手でカップを持ちちびりちびり飲むのです。やってみると意外に格好いいので皆様も機会があればぜひ試してみてください。


そんなこんなで旧交を温めた楽しい一日でした。


2016年5月10日火曜日

皮膚疾患マメ講座 第10回 虫刺され


このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

虫刺されは誤解されやすい情報が多いのでまとめてみます。

1蚊に刺されるとすぐ膨らんで短時間で消退する,とは限らない。:蚊刺症には即時型と遅延型の2種類があります。即時型では上記のようになりますが,遅延型では1~2日遅れて出ますし長く続きます。大人には即時型が多く,子供には遅延型が多いようです。ダニの場合も同様です。

2蚊はいるのは夏だけではない。:蚊は意外に通年性で3月から11月は結構います。

 3家族の中で刺されやすい人と刺されにくい人がいるというのは誤解。:人によって虫に対する免疫反応が異なります。同じように刺されていても赤くならないこともよくあります。ダニなどはダニ由来の唾液腺物質に対するアレルギー反応なので個人差が大きい。

 4蜂に刺されたので針を取ってほしい。:

スズメ蜂やアシナガ蜂の針は頑丈で折れないので針が残っている心配はいりません。ミツ蜂の針は皮内に残っている可能性がありますのでチェックしますが拡大鏡で見つからない場合は大丈夫です。見つけたときには引き抜きます。

 5虫刺されを引き起こすダニとアレルギー検査のダニは別物です。:虫刺されを起こすダニはイエダニやツメダニなどで,アレルギー検査はヤケヒョウダニとコナヒョウダニです。

 6ダニ刺症は非露出部が多い。:イエダニは夜間就寝中に室内に侵入し,寝具の中に潜り込んで衣服に覆われた皮膚の柔らかい部位を選んで刺すことが多い。下腹部や腋の下,腰部や大腿内側に好発します。

 7イエダニ退治に燻煙型殺虫剤は効きにくい。:イエダニはネズミに寄生していてネズミの巣から移動して人を襲います。このようにイエダニの発生源が室外なので燻煙殺虫剤を一時的に使用するだけでは効果は少ないです。薄暗い物置部屋の頻回の掃除や,室外との連絡部に殺虫剤をまくのがいいようです。

 8刺し口からだけでは虫の種類の同定は困難:原因虫の推定はむしろ,刺された部位,地域(町中?田舎?),痛みの有無などが参考になります。中には毛虫皮膚炎のように皮疹の分布から一目で分別できるときもあります。

 9不衛生な格安宿泊施設でナンキンムシ(トコジラミ)にやられることがある。:注意が必要です。

 本内容は兵庫医科大学の夏秋 優先生の著作内容を参考にさせて頂いています。

コーヒーブレイク 第10回 サッカースタジアム見学


このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。

先日機会があってヴィッセル神戸の「スタジアム見学ツアー」に参加しました。これは通常の試合チケットにプラスして普段は立ち入ることのできない所,例えば選手のロッカールームや準備室,記者会見室などを見学できるツアーも含まれたものです。今回は息子のサッカークラブがスポンサーだった関係で手に入れましたが,ひょっとしたら一般の方も手に入れることができるかもしれません。

またJリーグのサッカー選手に触れ合う機会もあります。選手がバスから降りてスタジアムに入るスペースにて拍手でお出迎えし,その際選手とタッチすることができます。監督や気さくな選手はにこやかに対応してくれますが,試合前で集中している選手は緊張した表情で足早に通り過ぎます。正直ヴィッセル神戸の選手は知らない人が多いのですが,お父さん方に圧倒的な人気だったのは対戦相手のジュビロ磐田の名波監督でした。何といっても20年前の日本中のヒーローだったですから。

メインイベントは記者会見室で選手が一人来てくださり,サインをしてくれて記念写真も撮ってもらえます。その日は背番号2,相馬崇人さんでした。息子はヴィッセルのユニフォームを着ていたので背中にサインしてもらいました。またその後試合会場でモーヴィというヴィッセルのキャラクターと写真も撮らせてもらえました。

さて肝心のサッカーの試合結果は4対1とヴィッセル神戸にしては珍しく圧勝です。私がスポーツの試合を観戦すると応援しているチームは必ず勝てない(良くて引き分け)というジンクスを打ち破ってくれました。勝つって気持ちいいものですね。

姫路に住んでいると神戸のチームといってもピンとこないかもしれませんし,特に私は長年島根県に住んでいたこともありヴィッセル神戸にはあまり愛着がありませんでした。ましてやヴィッセル神戸といえば優勝を狙えるような立場ではなく,ぎりぎりではないもののJ1残留,できれば中ぐらいの順位を目指すみたいな感じで,はっきり言って強豪チームではありません(関係者に怒られそう)。しかし同じ県内で地元に最も近いクラブですから皆さんで応援しようじゃないですか。

頑張れ,ヴィッセル神戸!
 

2016年1月27日水曜日

皮膚疾患マメ講座 第9回 保 湿 剤


寒い時期になると乾燥肌が目立つようになります。今回は保湿剤の種類について説明しましょう。

1)ヒルドイドソフト

最も有名な保湿剤です。一番べたっとして瞬間的な保湿効果が高いのは白色ワセリンなのですが,残念なことに皮膚からの水分蒸散を抑えることができません。そのため水分蒸散を抑え総合的に最も保湿効果が高いのはヒルドイドソフトです。欠点としては値段が高いことと,血管拡張作用があるので頬っぺたなどにつけると一時的に皮膚の色が赤くなります。これが一時的であればいいのですが長時間続くことがあり使いづらい方もいらっしゃいます。また若干の刺激があります。ジェネリック製品でヘパリン類似物質油性クリームも使っています。

クリームタイプの他にローションタイプもあります。効果はクリームの方が高く冬にお勧めです。しかし夏は伸びが良くて使いやすいローションもいいです。一部スプレータイプもあります。

2)尿素系クリーム

ヒルドイドソフトで皮膚が赤くなったり刺激感が気になる人には,尿素系クリームがおすすめです。当院ではベギンクリームを使っています。市販されているウレパールと同様の品です。外用時にとても伸びがいいのが特徴です。ヒルドイドソフトには劣るものの白色ワセリンと同等かそれ以上の保湿効果があると考えられます。

3)白色ワセリン

総合的な保湿効果としてはヒルドイドソフトに劣るものの白色ワセリンには別の魅力があります。

何といっても値段が安い。アトピー性皮膚炎に対して九州の大学でやっている治療として,入浴後乾燥の強い全身にたっぷり白色ワセリンを塗ってその後湿疹部にステロイド外用剤を塗るという方法があるのですが,白色ワセリンがとても安いからできることです。また化学物質が何も入っていないことから種々の外用剤にかぶれる方にはとても安心という利点があります。欠点は最初にも書きましたが皮膚からの水分蒸散を抑えられないので総合的には保湿効果が落ちることです。

 一長一短がありますが,基本的には1)→2)→3)の順におすすめしています。しかしその人の皮膚に合う合わないといった好みがあるのでケースバイケースで選択する必要があります。

コーヒーブレイク 第9回 シュレーダー教授に再会

このコーナーは赤木院長の個人的な趣味を綴ったものです。下手な文章にはご容赦。
 昨年の11月,母校である島根大学医学部皮膚科の主催で皮膚アレルギー学会が松江で開催されました。

 長い間暮らしてきた島根県でお世話になった先生方に挨拶する為当然参加してまいりました。懇親会はフォーゲルパークといって鳥専門の動物園(神戸でいえば花鳥園みたいな施設)で行われたのですが,ペンギンやフクロウと写真を撮ったり,神話のヤマタノオロチを芝居にした石見神楽(いわみかぐら,写真)を観劇できたりと楽しいイベントがいっぱいでした。山陰地方ならではの山海の珍味がテーブルに並び,また面白いところでは鳥取砂丘から最近の名物である砂場コーヒー(呼び名がスタバコーヒーとまぎらわしいところも面白いですね),砂場カレーが意外に美味しかったです。あまり知られてないかもしれませんが松江はお茶が有名で茶菓子なども登場しました。

 さてタイトルにも出て来たシュレーダー教授は基調講演のためわざわざドイツのキール大学から招待されました。このキール大学こそ私赤木が留学していた大学なのです。ですからシュレーダー教授は留学中指導していただいた恩師で,とても優しく丁寧な方です。

 しかしドイツ留学も楽しいことばかりではありませんでした。なにせ会話が英語(ないしはドイツ語)ですから,難しい話になると会話についていけません。研究の技術を身につける事が目的なのですが,元々の基礎力がなかったため非常に苦労しました。そんなこともあり,帰国してからはシュレーダー教授には何も連絡しておらず大学をやめて開業したことも伝えていませんでした。

 そんなうしろめたい気持ちがある中,シュレーダー教授が来日されると聞かされた時はとても驚きました。かといって会わないわけにはいきません。一念発起しドイツ語を猛勉強して現在の状況を説明できるようにまで準備しておきました。

 そしていよいよ実際に対面する時がやってきました。対面早々「ちゃんと勉強しているか?君が研究してた内容はモリタ教授が完成させてプロナス(非常にレベルの高い学術雑誌)に載ったけど読んだか?」と話を切り出されたのには戸惑いました。心の中で思わず「いきなりかよ。」とつぶやきました。そうなのです。前述したとおりシュレーダー教授はとても優しく丁寧な方なのですが学術的な会話が多く,ついていけなくなることがしばしばあるのです。いい人なのですが困ってしまう人なのです。

 幸いにも研究と無縁なシュレーダー教授の奥様が我々の会話に交ってくれたおかげで学術的な話題から離れ,私の近況報告をすることができました。よかったよかった。シュレーダー教授はその後も他の研究者と立ち話で討論を始めるので直接話をすることはほとんどできませんでしたが,シュレーダー教授の奥様とドイツ語でいろいろ話をすることができて楽しかったです。実は奥様もドイツ語しか話せないので話し相手がいなくて寂しかったらしく丁度良かったみたいです。
 今思い出しても「何とか乗り切ったぞ。」という気分でいっぱいです。
 

皮膚疾患マメ講座 第8回 アトピー性皮膚炎とプロアクティブ療法

このコーナーは皮膚病診療について独自の視点で解説します。

 プロアクティブと聞くとテレビで通信販売しているニキビ治療薬を想像しますが今回の話に出てくるプロアクティブとは別物です。アトピー性皮膚炎に関係した話です。

アトピー性皮膚炎は慢性の湿疹が生じ,いったん治っても種々の要因によってかゆい湿疹が再発してきます。かといって治療薬であるステロイド外用剤には一定の副作用の恐れがあり,漫然と長期に使用することはためらわれます。

最近アトピー性皮膚炎の再発再燃を抑える治療法で単純だけど画期的な方法が開発されました。それがプロアクティブ療法です。

今まではステロイド推進派の赤木でさえ,アトピー性皮膚炎の患者様に「湿疹にはステロイド外用剤を使用すべきですが,湿疹が治ったら副作用の心配を避けるためステロイド外用はやめましょう。」と説明していました。しかし湿疹が治りすぐステロイド外用をやめてしまうと短期間で再発してしまうことがよくあります。せっかく外用剤を塗布して治しても,また出てきたらがっかりしますよね。何かいい方法はないかなと思っていたところにプロアクティブ療法です。

プロアクティブ療法とは見た目がきれいになってもステロイド外用剤の使用を中断せずもうしばらくの間使い続けるというもので再燃を防ぐ効果があります。

どうですか。すごく単純なことだけど充分有り得る話だと考えます。今回の話は大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科部長の片岡葉子先生にうかがったものです。片岡先生によるとアトピー性皮膚炎の病勢がある時にはTARC(ターク)という物質が皮膚や血中に現れるのですが,治ったばかりの皮膚は見た目がきれいでもTARCがまだ残存し湿疹のかけらが残っているそうです。この時点でステロイド外用を中断すると湿疹が再燃してきます。逆にプロアクティブ療法に従い一定期間ステロイド外用を続けると残存したTARCも消えて本当の意味で治すことができます。

他の話で例えると,キャンプの時たき火をしっかり消火していないとその残り火が再燃し,ひどい時には山火事になることでしょうか。

ここでもうすこし具体的なスケジュールを書いておきます。

1)            寛快導入期(約2か月):ステロイド外用剤を丹念に塗布して湿疹を治す。

2)            維持期(14週間):湿疹が軽快してもステロイド外用剤を連日塗布。

3)            漸減期:保湿剤等を併用しつつ,湿疹がなくても週に12回はステロイド外用剤を塗布することはOK

 1の寛快導入は一般的な治療期間のことです。2の維持期が今回の最も注目すべき部分で,いったん湿疹が治ってももうしばらく同じ外用を続けることが大事だということです。さらに3の漸減期も画期的なことと考えられ,調子が良くても週に12回はステロイド外用剤を塗布して予防に努めてもいいということです。

 まとめますと,アトピーの人でいったん治ってもすぐ再発しやすい人は湿疹が治ってもしばらく外用を続けることが大事で,もっともっと治っても再発予防のために週に12回ステロイド外用してもいいということです。

コーヒーブレイク 第8回 なぜかトイストーリーブーム

 我が家で「トイ・ストーリー」が今頃になってブームです。数か月前に映画「トイ・ストーリー3」がテレビで放映されたことがきっかけで,その後友人から別の話のビデオも借りて子供たちがそれを観て夢中になってしまいました。トイ・ストーリーはディズニー社が製作したCGアニメ映画で現在パート1から3まであります。おもちゃの人形が人間の見ていないところでは自由に動き回って活動している,だけど人間が来ると慌てて元の位置に戻って電池が切れたように動かなくなるというルールの世界観で構成されています。自分の家にあるおもちゃの人形が生きて動いているそんな夢のある物語なのです。

 主人公は保安官人形のウッディで,その相棒がスペースレンジャ―のバズ・ライトイヤー。この二人が中心になって物語が進むのですがそれ以外にも可愛らしくて魅力ある脇役キャラクターが数多く登場し大活躍して盛りあげるのです。私はこの話の好まれる理由はこれらおもちゃ達の仲間関係がとても友情あふれる美しいものだからだと思います。

 ところがこのトイ・ストーリー人気は我が家に限ったことではなく全国レベルであることが判明しました。先日ディズニーリゾートに家族で行ってきました。ディズニーシー内にトイ・ストーリーマニアというトイ・ストーリーに関連したアトラクション(ゲーム施設のことです)があるのですが,昼過ぎに行くと2時間待ちです。もっと空いてから入ろうと思い2時間後に再度来てみるとさらに増えて3時間待ち!これは待つのは大変だと判断し,次の日朝一番でもう一度来ることにしました。これが裏目にでてしまいました。

 次の日開園時間の30分前に行ったのですがまずディズニーシーの入り口で既に長蛇の列。入園するのに時間がかかり,それから急いでトイ・ストーリーマニアに向かって走ります。よく見ると他の人も目的は同じ。まるでマラソン大会のようになっています。それでやっと待つ列にたどり着くと既に4時間待ち!結局最初に来た時の2時間待ちが一番短い待ち時間だったわけです。しかもファストパス(ディズニーリゾート特有の,列に並ばないで入れる優先チケット。ただしこのパスを手に入れるためにも並ぶことが必要なこともあり。)も入園開始時刻からわずか30分で1日分が終了!なんともはやものすごい人気です。

 またディズニーランドにも別の日に行ったのですが,ここにはバズ・ライトイヤーのアストロブラスターというアトラクションがあってここも3時間半待ち!皆さん何が楽しくてこんなに待っているのですか。いや,他人のことは言えないのですけど。

 だいたいディズニーシーとディズニーランドの両方にアトラクションがあるという事自体すごいことですよ。トイ・ストーリーだけだと思います。クマのプーさんだって,アラジンだってどちらかだけです。他にもディズニーランドでパレードを2回見ましたが必ずトイ・ストーリーの山車(フロートと言うそうです)  はあります。また売店ではグッズが山ほど売られています。何度も言いますがすごい人気です。

 これを機会にまだご覧になっていない方もトイ・ストーリーをご覧になってはいかがですか。パート2のアクションシーンも好きですが,なんといってもパート3がおすすめで大人が見ても充分楽しめるエンターテイメント作品になっています。パート4も製作中のようでこれまた楽しみですね。

 ちなみにディズニーランドで一番好きなアトラクションはイッツ・ア・スモールワールドです。